「グランケアあざみ野」では、
ご入居の皆様に「ピアノレッスン」を行っており、
私は毎回貴重で、楽しい時間を過ごさせていただいています。
ご高齢者の施設で、このような1対1でピアノレッスンを行っている施設は、
おそらく他にはないのではないでしょうか。
本日はそのきっかけとなりました男性ご入居者様の、
95回目のお誕生日会がありました。
数年前に、この方の「ピアノかぁ~触ってみたいなぁ・・・・・」というお一言をスタッフが聞き、
私にご相談くださったのです。
私はもともと医学に進むことも脳裏にあり、ピアノの道に進みながらも、
何かピアノと医学を結び付けたい、そして大好きだった祖母に何もしてあげれなかった思いから、
ご高齢の方々に寄り添いたい、という2つの希望を融合すべく、
ピアノと脳科学の書籍、文献、脳の仕組みなどを読みあさり、講座を受けに行ったり、資格を取得したりと、
兼ねてから興味をもっていたこともあり、喜んでお受けいたしました。
私は毎回「私はお教えする方が例えお一人でも、喜んで伺いますので、お気遣いなさらないでくださいね」と申し上げていたのですが、
それがいつの間にか10名、20名と多くの方がご参加くださるようになりました。
先日、支配人から「先生の人気は本当にすごいですね!ピアノレッスンは、うちの施設のアピールポイントになっているんですよ」と大変嬉しいお言葉をいただきました^^
私がすごいことは何一つなく、このようなご入居者の何気なく日常に口にされたお一言をもきちんと拾い上げ、
それを可能な限り実現しようとするこちらの施設が、素晴らしいのです。
この男性はもちろんこれまでピアノを弾かれたことも、触れたことも恐らくなかったと思います。
今は本当に無邪気なお子様のようなやんちゃなご表情で、ピアノを楽しまれておられます。
私が感じたのは、こちらの施設は100歳以上の方がとても多く、そしてお元気なんです!
そのためか、私は日常で80歳、90歳と聞いても「まだまだお若い」と感じるようになりました(笑)
健康寿命が長い、というのは、本当に素敵なことだと思います。
また皆様が話される「昔ね」の、その「昔」が、当たりのように90年以上前のことを指すので、
生で歴史上の登場人物が普通に出てくるお話が、毎回楽しみで仕方ないのです
「私ね、女学校の時に、ほら、あのラストエンペラーの愛新覚羅溥傑さんの奥様、確か浩先生とおっしゃったかしら・・・・その方が、私の先生だったの」
「私の母は、昔、ヘレンケラーに会ったのよ、来日した時に」
等、思わずひっくり返りそうになるお話ばかり。
へ、 ヘレン、 ヘレンケラーって、私、伝記の漫画でしか見たことない・・・(サリバン先生がお水を触らせて「ウォー(water)、ウォー」みたいな・・・)!
愛新覚羅溥儀、溥傑、って、昔、歴史のテストに出たぞーー!(しかも漢字間違えて×だったぞーー!!)
この時、すかさず映画『ラストエンペラー』の曲を弾いて差し上げると、
とても穏やかな、遠くをみるようなご表情で、さらに思い出に深く浸っていらっしゃいました。
こちらのスタッフの方に「私たちスタッフは日常、忙しく動きまわらなければいけないこともあり、なかなかお一人の方とゆっくりと1対1でお話をする時間が取れないことがあるんです。
だから先生が、ピアノを通じて、皆様の心の奥底にしまってあった記憶を引き出してくださることが、本当嬉しくて感謝してます」とお話しくださいました。
恐らくこの機会がなかったら、一生、その方々のそのご記憶の引き出しを、もう開いて差し上げる機会はなかったんだろうなぁ、と思うと、
自分の立場が誇らしく思います。
このようなアクティビティを、今後もっと多くの施設が取り入れてくださることを願っています☆
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