今日は「グランケアあざみ野」様で、一日ピアノレッスンday。
皆様、いつもとても楽しみにしてくださっているようで、
「わあ~、また先生にお目にかかれたなんて、私、な~んて幸せ者なの~!」
と少女のように目を輝かせて、私を拝んでくださるK様。
ご自身がお弾きになるのではなく、私がK様のお好きなクラシック曲を、目の前で「専属」でお弾きしています。
またW様のレッスンでは、ジーンとくる事がありました。
音楽というのは、同時に、その当時のことを思い出す引き出しのような役目もあります。
W様は、ある曲を口にされ、ピアノでメロディーラインをお弾きになりながら、
遠い昔の思い出を見つめていらっしゃることが、目のご表情から伺えました。
お話を伺うと、昔、中国地方のある県で、
素敵な男性と出会い、素敵な恋をなさったとか。
その後、その方とは違う男性とご結婚され、お子様もお生まれになり、幸せなご家庭を築いてこられたそうです。
今はもうそのご主人様をお見送りされ、御年90歳を超え、こうして毎日楽しく過ごされていらっしゃいますが、
その曲を耳にした時、思い出されたのは、ご主人様のことではなく、
それより遠い昔に恋をしたその男性のこと・・・・・。
この時代ですから、今のような自由な恋愛で結婚できるとも限らず、ひょっとしたら、ご両親の決めた方とご結婚されたのかもしれません。
もちろん、十分お幸せな生活を送られたことには間違いないのですが、
お歳を重ねられ、認知症の症状があり、様々なことをお忘れになった「素」の状態になられた今、
その男性との思い出が、スッと甦ってきたのでしょうね。
「好きな人が住んでいたところが、私の故郷なの」。
しっとりと、一言一言を噛みしめるようにおっしゃったこのお言葉。
このあまりにピュアなお姿に、私はジーンと感動し、思わず涙ぐんでしまいました。
素敵な恋をすること、はこんなにも情動に深く刻み込まれるものなんですね・・・・
叶った恋よりも、叶わなかった恋の方が、一生心に残るのかもしれない・・・・。
W様の乙女のような綺麗な綺麗な瞳を拝見し、心が洗われる気がしました。
心がポカポカになって帰宅した今日の出張レッスンでした。

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